東山
学生さん
私が就活をしていた頃とは、そう「うぇ~い」とか「それな」とか、そんな単語で会話していた、あの時代です。
就活をしていた当時から持っていた「くじ引き採用」という革新的な(?)提言について、
語っていきたいと思います。
(就活に苦しんでいるみなさん、是非この記事を読んでリフレッシュしてください)
目次
くじ引き採用って?
言葉の通り、面接をせずくじ引きで人を選び採用してしまおうという大胆な発想です。
こんなことを言ってしまうと、企業の人事の方や就活でそれなりに頑張って結果を出してきた人は必ずこう言うでしょう。
そんなことしたら優秀な人が取れない!会社がめちゃくちゃになる!
と。
わかります。多分、私もそっち側の人間だったら、そう言ったでしょう。
ただ、私はそっち側の人間でなかった…
東山
当時の経団連の就活スケジュールは
- 12月説明会スタート
- 4月から面接・内々定スタート
12月から合説に行きまくり、年明けからは中小企業での説明会、面接と、その時は本当に毎日何かしらの就活の予定が入っているようなスケジュールでした。
そんなスケジュールを私の場合は6月くらいまで続けたんでしょうか…
面接をした会社はそのうちの半分くらいでしょうか
→で、その中で内定が出たのは結局1社のみ、決まったのは8月でした
就活の間、私なりに頑張りました。
自己分析…絶対内定という書籍に沿って、最終的にはノート2冊分になるくらい徹底的に自己分析しました。
面接の結果を受けて、日記帳のようなものもつけていましたので、就活期間中にノートは5冊くらい消費しました。
それくらいとにかく自分に向き合った期間でした。
しかし結果は上に挙げた通り、一言でいえば惨敗でした。
まぁ今回の「くじ引き採用」の提言は、頑張ったのに悉く結果が出なかった側の人間からの提言である
というのは一つポイントかもしれませんね…
ただ、この提言が単なる弱者の負け犬の遠吠えでなく、
(これは就活で惨敗し続けていた当時に思い至った案であるのはたしかですが…)
それなりに考えてみる価値のある案なのではないか、とは今でも思っています。
今回はその理由について書いていきたいと思います。
新卒採用試験が面接メインであることの問題点
①人を選ぶのはめちゃくちゃ難しい
まず、面接で人を選ぶのってめちゃくちゃ難しいです。
「明らかになんかおかしい」って人を弾くのは容易ですが、それ以外の人をたった数分間の会話で「良い」「悪い」を判定するのって本当に難しいです。
それがペーパーテストのように点数化できるものであれば、
その点数の大小に従って合否を決すれば良いわけですが、
面接の場合はこうした絶対的な評価基準を設けること自体が難しく、
・まず評価項目が人によってバラバラである
そしてこれらは各企業の中でブラックボックスのまま完結しています。
②ある人の好みで選べば選ばれる人のバリエーションは偏る
これは1つ目の問題点に通じるものでもありますが、
まず人が選べば、それは完全に選ぶ側の人の好みに偏ります。
よって、採用される人のパーソナリティに偏りが出ます。
日本だと特に「他の人と同じであること」が
どちらかというと好まれる傾向が強いので、強烈な個性を持った人間は面接の場では諸刃の剣になりかねない一面があるでしょう。
そもそも新卒一括採用制度というものが横一列のものであり、
制度そのものがもう「皆が同じであること」を求めてしまっている、というか
現状では確実にこの制度の中で好まれる一般的なパーソナリティというのは生まれてしまっているわけです。
・弁がたつ
・明るい
だから、就活生はこのパーソナリティに近づくようなエピソードを就活で作り上げていくわけです。
そんなわけで私は
現状の就活一括採用制度というのは、全国の大学四年生がこの一つのパーソナリティに無理やりにでも近づけていくような活動でしかない
と思っているわけです。
企業としては本来、様々なパーソナリティを持った人材を欲しているはずです。
しかし、現状の新卒一括採用制度というのは、一つのパーソナリティにしか向かっていないように思え、
それを決するのが面接の場である限り、新卒採用で「多様性」を持たせるのはかなり難しいことであると考えています。
③面接で落とされた人間に残るモヤモヤ
この問題の前提にあるものとして、下記のような現実があると思っています。
構図としてはやはり落ちた側に落ち度があったと解釈せざるを得ない部分が大きい
要は不必要に若者を傷つける仕組みであると思っています。
傷つける仕組みになっている要因には、
日本の文化がそうさせている部分もあると考えています。
例えば、大概の面接というのは和やかな雰囲気のまま終わるわけです。
実際にはその場で、ほぼ「良いのか悪いのか、あるいは保留(他の人を見てから決めよう)なのか」というのは決まっているはずですが、
その場で合否を告げることはせず面接官は基本ニコニコしています。
面接官
東山
最後によくわからない気遣い(匂わせ)が入ることもあります。
面接官
面接を通過している場合は比較的早く結果の連絡が来ますが、
ボーダー、あるいは落ちている場合の連絡はモヤモヤさせる期間(1週間程度~ひどいときはもっとかかります)を経てからやってきます。
お祈りメールなるものです。
東山さま
先日は弊社の一次面接試験にお越しいただき、ありがとうございました。
今回の選考について、弊社内で慎重に検討いたしました結果、
東山さまのご希望に添いかねることとなりました。
東山さまの今後のご健闘をお祈り申し上げます。
この不誠実さです。
完全なる定型文です。
で、せめてダメなら早めに連絡してあげろよと思うわけです。
東山
結局のところ、企業側も学生側もお互い本音をぶつけない茶番の活動なのです。
「これが社会なんだ」といえば、確かに本音をぶつけないという部分はある種の社会なのかもしれません。
百歩譲ってその部分を認めたとしても、であるならば学生側に本音を求めるスタンスは何なのでしょうか?
企業側も本音を隠して採用活動をしているという事実、
基本的には会社説明会などというのも誇大な部分が大きいわけですが、
自らが本音を出していない状況の中で、学生側には本音を求めているという矛盾…
不毛な時間や労力を企業側も学生側も何年も何年も繰り返している、という状況なわけです。
そして、この不毛な活動は確実に学生側が割を食うという構図になっています。
学生側の方が確実に社会的に弱者でありますし、
企業側は、採用活動にかかるコストの部分に納得しているのであれば基本的には損をするということが一切ないわけです。
企業側が圧倒的にお得な立場であり、
終わったあとにモヤモヤが残るのは学生側なのです。
東山
新卒採用がくじ引きで全く問題ない理由
現状の新卒一括採用という仕組み自体にすでに問題点が多く存在している、ということを述べてきましたが、
ここからはそんな中で「くじ引き採用」にしても全く問題ないと考える理由について説明していきます。
①面接で人の能力は測れない
これは、面接採用の問題点にも書いた通り、結局「面接で人を見抜くのは至難の業である」
という部分が大きく関係しています。
面接の数分間だけ印象良く見せることはそこまで難しくなく、
であるからこそ、面接官にとっても「人の能力を正確に測る」のはほぼ無理なことです。
その場が、新卒採用であればなおのこと難しいのです。
基本的に新卒採用で見るべきポイントとなるのは、
過去の実績ではなく、今後の可能性の部分
です。
人当たり良く対応できる学生もいるでしょう。
そして、まだ自分の見せ方を知らない学生もまた多いでしょう。
面接の場で受かる可能性が高いのは前者ですが、
社会人経験のない両者で、どちらが今後伸びしろがあるのか?
もっと言ってしまえば、現状でもその判断はできていないと言えるでしょう。
であるのであれば、新卒採用活動においては面接で人を見極めるというのを諦めても全く問題ないのでは?
と考えるわけです。
②どの会社も新卒の30%は3年以内に退職する
そして、もう一つの大きなポイントがこれです。
これだけのコストをかけて採用活動をしても、
5年後にはさらに、入社時の半分程度になっているという感覚です。
新卒入社した社員が、会社に貢献できるようなレベルになるまでに、大体5年くらいかかると考えると、
結局、新卒採用したうちの半分の人間は、会社に貢献できるようなレベルになる前にやめてしまうということです。
やめてしまう人間の中には、優秀な人、そうでもない人満遍なく含まれています。
2:8の法則というものもあります。
優秀な人間ばかりを集めたチームであっても、この構造は生まれると言われています。
結局のところ、あれだけコストをかけて人を選んだ新卒採用活動も
- 5年後には半分しか残っていない
- どんなに優秀な組織でも2:8の法則になる
くじ引きにしたって、結果は同じなのでは?
と思うわけです。
③社会人経験のない学生の競争は五十歩百歩
「今となっては」ですが、やっぱり学生時代の経験って、社会人で求められるものとは別物なんですよね。
結局学生時代の経験で社会人としての成果って決まらないということです。
「サークルで企画して人を動かしました」とか「バイトでリーダーやってました」とか…
社会人として、仕事としてやっていくことってやっぱりサークル活動やバイトとは全く違うわけです。
サークルで成果を出したこと、
バイトで成果を出したこと、
もちろん、その成果を出す「過程」の部分は仕事に通ずるものがあるかもしれません。
でもそれって「かもしれない」程度でしかありません。
そんな不確実なものに対して、わざわざ面接で吟味するほどの価値があるのでしょうか?
ほとんどの学生は社会人としての能力で考えたときに大した差はないのです。
こう言っては何ですが、大抵の学生は誰を採っても、会社にとってはあまり変わらないのです。
くじ引き採用にすることで得られるメリット
「くじ引き採用」に変更しても全く問題ないのではないか、ということについて述べてきました。
さらに「くじ引き採用」にすることで企業側にもメリットがあると考えています。
①採用活動にかかるコストの削減
採用にかかるコストは、会社の規模(応募者数)に比例していくものだと思いますが、
かなりのコストがかかっていると思われます。
さらに書類選考や1次面接の段階では応募者の絞り込みがまだそこまでされていない状態ですから、
かなりの人数の選考をしなければならないわけです。
新卒一括採用制度というのは上で挙げた通り、問題点もあるわけです。
現状の制度で全く意味がない、というものでもないですが、
新卒であれば、そこまでコストをかける価値が本当にあるのか?
というところが疑問なのです。
ここで「くじ引き採用」にすることで面接等にかかるコストを削減することで、
その分をより会社に利益をもたらしてくれるような活動に割いたら、
会社にとってはメリットが大きいのではないでしょうか?
②会社の人材の多様性につながる
「くじ引き採用」になることによって、人間が面接で選ぶことよりも「ランダム性」が生まれます。
これはある意味画期的なことで、これまで採用できなかったパーソナリティを持つ人材を採用できるという可能性でもあると思っています。
でも学生時代にすでにビジネスとかやっちゃってる、本当に優秀な人とかもやっぱり企業は欲しいのでは?
学生さん
東山
優秀な人材を確保するのは別ルートで存在すれば良い
もちろん、学生の中にも即戦力になりえるような優秀な学生も存在します。
「こういった学生を確保したい!」と考える企業は多いでしょう。
こういう学生は「くじ引き採用」と別のルートで採用してしまえば良いのです。
例えば、
- インターンからの採用
- 一芸採用のようなもの(面接があっても良い)
私も過激な反面接派ではありません。
ただ単純に、
面接によって大多数の「比べても大差ない学生」に無理やり差をつけるという今のやり方にそこまでの費用対効果を感じていない
というところでしかないのです。
・一部のずば抜けた人間だけを通すための面接
最後に経験者が振り返る新卒就活
なんだかんだ色々書いたあとに、完全に矛盾したことを書きますが、
失敗続の新卒就職活動の中で得られたものは非常に大きかったと個人的には思っています。
ここで落ち続けた経験というのが、
「自分は大した人間ではない。だから考えて、努力し続けないといけない」
という意識につながっています。
おそらくこの就職活動での惨敗の経験がなければ、そんな思想にはなっていなかったと思います。
その意識があるからこそ、
仕事にも積極的に向き合えてきましたし、
何より当時徹底的に自己分析したことが、仕事での目標設定や取り組み方に活きています。
もう新卒で入社した会社に勤めて7年ほどになりますが、
一応同期の中では順調にキャリアを積めていっている方ではいます。
就活でボロボロだった人間が、です。
なので、本当に就活の結果というのは、それで人生どうこうなるものではありません。
就職活動で成功した人がその後逆にうまくいかないというケースも多くあるでしょう。
だから本当に、面接で失敗続きで落ち込んでいるような人は
どうかこの記事で提案した「くじ引き採用」を思い出していただき、
就活がどれだけ不毛なものなのか、
落ちたとしても、「くじ引きで落ちただけなんだ」くらいに解釈して乗り切ってみてください。
東山
- 新卒採用活動は企業側にとっても学生側にとっても茶番
- 「面接」→「くじ引き」にすることでコスト削減しても問題ないのでは?
- 学生の段階でずば抜けている人は別の採用ルートで確保すれば良し!
- でも今の新卒採用活動もそこそこ良い経験にはなる